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目標を共有するだけでは、チームとして動き出せない
新年度が始まりました。職場には新しいメンバーが入り、新しいチームワークが必要になっているのではないでしょうか。以前このコラムで、年度初めに職場のメンバーどうしがお互いの人となりから知り合う「オフサイトミーティング」をしておくと、その後の仕事がスムーズにスタートできるという話を書きましたので、ぜひ参考にしていただければと思います。
行政経営デザインコラム「年度初めは、課内で『交流型』オフサイトミーティングを!」は、こちら
行政組織には各種の計画があり、年度当初には種々の目標を設定して、すり合わせるための作業や面談が続きます。ただ、話し合いが事業や目標に関することに終始してはいないでしょうか。
目標はめざすものとして重要ですが、人が力を発揮してこそ達成できるものです。それには、目標を確認するだけでは不十分で、そこに臨む職員の力を引き出すアプローチを加える必要があります。
職場には、いろいろな人がいて、それぞれに個性があり、様々な経験をして、好き嫌いもあれば、得手不得手もあります。二人として同じ人がいない、多様な人の集合体が職場におけるスタートラインとなっています。
そこで、事業の目標を共有する一方で、これらの仕事にそれぞれの人がどのような状態で向き合っているのかの事実・実態を相互に知り合い、認め合うことが重要です。なぜなら、人には地に足を着けて取り組み、やる気の根を下ろすところがあることが、目標に向けて踏ん張る力を生み出すもとになるからです。
先行きに不安があればこそ、安心安全な場づくりが大切
近年、組織内に「心理的安全性」を備えることが着目されています。
先が見えない時代、目標を掲げてもそのとおりにはいかないことが増えている要因があると考えられます。かつて目標が明確で、確実に達成できる方策を計画できた時代には、わざわざ心理面での安全性を確認する必要はさほどなく、皆が自信を持って突き進むことができました。
しかし、今のコロナ禍をはじめ、価値観が大きく変わり、やり方も次々に変更を余儀なくされる状況にあっては、どんなに対策を打ったとしてもヒヤヒヤした状態が続きます。遠い先のありたい姿に向けては、どうすればいいのかの方策を仮説として持ちながら、日々動いた結果を検証して試行錯誤していくしかありません。
そんな不安が増すほどに、ともに取り組む人たちとは、常に本音で語り合い、うまくいかない悩みや問題も安心して共有し、一緒に知恵を出し合える関係を築いていくことが大切です。気楽にまじめな話をするオフサイトミーティングは、そんな新しい時代の仕事の不安をともに乗り越えていくプロセスにセイフティネットを張っておく機能を果たしてくれることでしょう。
仕事のパートナーとのチームづくり
行政の仕事においては、自職場だけでなく他部署や住民、関係機関、事業者など、さまざまなパートナーと取り組むことが増えています。
それゆえ、職場内の職員と同様に、関わるパートナーとも相互理解を進めながら安心して協力できる関係を築いていく必要が出ています。
これら様々な対象者とオフサイトミーティングを活用した事例については、昨年度1年間試行した「公務員のオフサイトミーティング場づくり実践セミナー」の参加者から、3月26日に開催した「公務員のオフサイトミーティング活用実践報告会」で報告がありました。
1)身近な係内で、相互のギャップを埋めるオフサイトミーティングを開催したところ、職員が主体的に日々アップデートする職場をめざして取り組み出した事例
2)地域共生社会の実現をめざす福祉保健政策局内4課の横断ワーキンググループで、オフサイトミーティングでの話し合いのベースをつくったところ、新しいヤングケアラー対策において予想を超える成果が生まれた事例
3)町の副町長が、幹部会議にオフサイトミーティングの話し合い方を取り入れて運営したところ、課長たちから積極的に意見が出て来て、迅速な実行につながった事例
どれも立場肩書を超えて対話できる話し合いの場づくりを大事に準備していたことが、その後の議論の質、成果の質の高さに結びついていました。
みなさんも、ぜひ新年度「オフサイトミーティング」を組織や仕事をよりよく変えていくプロセスの中に活用していきませんか。
オフサイトミーティングの活用プロセスを学習する
「オフサイトミーティング活用セミナー」は、月1回土曜夜WEB開催して互いの実践プロセスを相談し合う機会を6カ月単位で設定しています。
第1回には『オフサイトミーティング 仕事の価値を高める会議』の本をテキストとした基礎講義を1時間プラスして設けました。
第2回以降は、「場づくりチェックシート」を活用して、自組織の課題、状況をもとにご自身のペースでじっくり企画から実践まで歩んでいただきます。会合では、参加者どうしが取組内容について意見交換しますので、自分の取組を客観的にとらえ直すこともできます。
セミナーは半年単位でのお申込みとなりますが、年度上期は、場の準備から相互理解の場の実践とめざす姿の設定まで、年度下期は、問題解決に向けた知恵出しと試行にチャレンジする流れとなることがおおよそ想定されますので、通年継続してご参加されることをお勧めいたします。
本稼働には、試行版からの年度を超えた継続参加者も多くおられます。行政組織における変革マネジメントを実践から学び合える貴重な機会となっているからでしょう。
セミナーの内容、進め方につきましてご不明点がございましたら、お気軽にお問合せください。弊社プロセスデザイナー元吉由紀子、高木穣が対応させていただきます。
今後セミナーの中での運営につきましては、自治体職員による運営チームもございますので、お気軽にご相談もいただけます。
みなさんのご応募、ご参加をお待ちしています。