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「形だけつくって終わっている仕事」の氾濫
企業で若手の方と話し合いをしていると「会社の方向性が見えない」という声をよく聞きます。一方、トップ層や経営企画部門の方は「ちゃんと示してますよ。携帯用のカードにして全員に配ってあります」とおっしゃる。こういった問答がほとんどの企業にあるんですね。
人事・賃金制度を変える、組織を再編するなどの改革もさかんに行なわれていますが、現場としては「変えますよっていう通知はきていたけど、今までと同じだな」という声が多いのが実態のようです。
自動車メーカーT社の例
勝ち組といわれる自動車メーカーT社の方とお話をしていると、「腹に落とす(落ちる)」という言葉をよく使われます。見聞きしただけ、頭で理解しただけではなく、「納得する。個人の行動レベルまで落としこむ」という意味ですが、それが仕事のスタイルによく現われています。T社の方々は「形をつくる」以上に「腹に落とす」作業に時間と労力をかけるんですね。
「何のためにそれをするのか」「そのためにはどういうやり方をするのか」徹底的に追求し、決して「仕事自体をムダ」にしない。仕事をやったら最後の「仏に魂を入れる」ところまできっちりやる。そうやって仕事の元を確実に取るわけです。
「腹に落とす」作業を大多数の企業がやっていない
これに比べると、ほとんどの企業では「形だけで終っている仕事」が氾濫しています。建物だけ造ったものの運用を考えていなかったために遊休施設になっているような仕事が本当に多い。T社が大事にしている「腹に落とす」作業は、どの会社にとっても大事なことのように思うのですが、大多数の企業がやっていない。
まったくもって不思議な話だと思いませんか?